3Dプリンターと靴作り

3Dプリンティング技術と靴作りを全力で融合させていくブログ

分割タイプの木型作り②

今回は、分割タイプの木型データを作成していきます。

 

まずは、適当な位置で木型を前後のパーツに切り分けます。

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つま先のパーツには、ボルト穴を2か所開けます。

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かかとのパーツには、ボルトの頭がひっかかるように穴を開けます。

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最後に、木型を靴から引き抜く際に工具を差し込む穴を開けて完成です。

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次回は、木型を3Dプリンターでプリントアウトして、ボルトを使って組み立ててみます。

分割タイプの木型作り①

これまで、木型はかかとからつま先まで一括でプリントアウトしていました。

しかし、かかとからつま先まで一体型の木型では紐靴などの甲まで覆われた靴を作ることができません。

一体型の木型は、完成した靴から木型を抜くことができないためです。

そのため、甲の覆われた靴を作る際には、かかとや甲の部分が分割できる木型や、真ん中で折り曲げることができる木型が使われます。

 

 できるだけ単純な構造にしたいので、木型をつま先とかかとのパーツに2分割した構造を試すことにしました。

2つのパーツをどのようにつなげるかが問題になりますが、方法を探していると、3Dプリンターはボルト穴を出力することができるらしい、ということが分かりました。

色々なことができるんですね、3Dプリンターって・・・

 

どの程度強力にボルト留めできるのか不安があるので、まずは直方体のパーツにボルト穴を開けただけの部品で実験します。

blenderには、ボルトを作れるアドオンが用意されていて、ボルト穴は簡単に作ることができました。

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さらに、相手方の部品も作ります。

うまくボルト留めできれば、上下の部品をしっかり固定することができるはずです。

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 こちらが、プリントアウトした上下のパーツです。

右側のパーツにボルト穴が開いています。

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何度かボルト穴のサイズ調整をして、ボルトがしっかりねじ込めることが確認できました。

ボルトはぐらつくこともなく、驚くほどしっかり留まっています。

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上下のパーツをしっかり組み立てることができました。

これなら、木型も組み立てられそうです。

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次回から、分割タイプ木型のデータ作成に取りかかります。

痛くない10cmヒールパンプスは作れるか?⑥

今回は、前回作製した仮靴を履いてみて、痛いところがないかどうかを確認します。

 

ラップとセロハンテープで作った超簡易的な仮靴ですが、無事に足を入れて立ち上がることができました。

指先が白くなっていることから、10cmヒールによって、指先に相当な体重が集中していることが分かります。

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こちらは、捨て寸(足の指先から靴の先端までの余裕)の設計値と実測値の比較です。

設計値16mmに対して、実測値は18mmという結果になり、前滑りはしていないことが確認できました。

また、小指が痛くならないように、小指の先端と靴の間(青い丸で囲んだ部分)に隙間ができるような設計にしましたが、期待通りの結果になりました。

しばらく室内を歩き回ってみましたが、指先が痛くなることはありませんでした。

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ここまで、「痛くない10cmヒールパンプスは作れるか?」というテーマで検証を行ってきましたが、結果として、「足囲とつま先の形状を足に合わせれば、10cmヒールのパンプスでも指先が痛くならない」ことが確認できました。

 

ただし、足長23cmの私にとって、10cmのヒールは感覚的にはつま先立ちで歩いている状態です。

指先の痛みないものの、足への負担が大きく、ふくらはぎがつりそうなほど痛くなりました。

やはり、ヒールの高さはほどほどが良いようです・・・

 

今回の検証は以上です。

お付き合いいただき、ありがとうございました!

痛くない10cmヒールパンプスは作れるか?⑤

今回は、ラップとセロハンテープで簡易的な仮靴を作っていきます。

 

木型と靴底を合体させたものに、ラップを巻きつけ、その上から全体にセロハンテープを貼って補強します。

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ラップの端は、両面テープで靴底に貼り付けます。

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好みの履き口の線を描き込んだら、線に沿ってラップをカットします。

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ラップがパンプスの形になりました。

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壊れないように、慎重に木型を抜きます。

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これで、簡易的な仮靴の完成です!

木型を抜くときに、履き口が引っ張られて破れてしまったので、セロハンテープでさらに補強しました。

足を入れたときに、履き口はかなり引っ張られて力がかかるので、念入りに補強したほうがいいようです。

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これが仮靴?と思われてしまいそうですが、この程度のものでもだいたいの木型の出来栄えは確認することができます。

 

次回は、仮靴を履いてみて、痛くないかどうかを確認します。

痛くない10cmヒールパンプスは作れるか?④

今回は、木型と仮靴用の靴底を3Dプリンターでプリントアウトします。

 

まずは木型です。

かかとからプリントアウトしていきます。

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かかとの部分に網目状のサポートが付いているので、ペンチなどで外します。

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次は、仮靴の靴底をプリントアウトします。

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f:id:shoemaking_3dprinter:20180621223636j:plainこちらも、ヒールの部分にサポートが付いているので外します。

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出来上がった木型と靴底を合体させてみます。

ねらい通り、ぴったり組み合わせられました!

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次回は、簡易版の仮靴を作ります。

痛くない10cmヒールパンプスは作れるか?③

今回は、仮靴用の靴底とヒールの3Dモデルができるまでをご紹介します。

↓クリックすると3Dモデルが動かせます。

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仮靴を革で作る場合には、本番の靴と同じ靴底とヒールを使うのですが、今回は簡易版の仮靴のため、靴底とヒールも3Dプリンターで出力してしまいます。

 

前回作成した木型の3Dモデルの底面だけを取り出します。

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このままでは厚みが0なので、全体的に少し厚みを付けます。

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更に、ヒールを付けたら、簡易仮靴用の靴底データの完成です。

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靴底と木型の3Dモデルを合体させると、冒頭の3Dモデルになります。 

 

 

次回は、木型と靴底を3Dプリンターでプリントアウトします。

痛くない10cmヒールパンプスは作れるか?②

今回は、木型の3Dモデルができるまでをご紹介します。

↓クリックすると3Dモデルが動かせます。

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前回作成した足の3次元形状データを基に、木型の3Dモデルを作成していきます。

痛くない10cmヒールパンプスにするために、特に注意するのは下記の2点です。

 ・前滑りしないように木型の足囲を足のデータに合わせる。

 ・指が痛くないつま先の形状にする。

 

まずは、足のデータに合わせて、大まかな木型の形を作ります。

水色の部分が木型、グレーの部分が足のデータです。

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次に、木型の足囲を、足のデータと合わせます。

足囲は、指の付け根の骨の周り(下の画像の赤い線の辺り)をぐるっと測ったときの寸法です。

モデルを赤い線で切って、矢印の方向から見た断面を確認しながら、木型の足囲を調整していきます。

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次に、つま先の形状を決めます。

赤い線が足の輪郭です。

私は特に小指が痛くなってしまうので、小指の先端と靴の間に、ほんの少し隙間ができるような形状にしました。(青い丸で囲んだ部分)

親指は靴と当たっていますが、指の側面が広い面積で当たっているので、痛みはないはずです。

広い面積で当たるより、指先などがピンポイントで当たる方が痛みが出やすくなります。

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かかとなども足のデータに合わせて整え、今回の木型は冒頭の3Dモデルのようになりました。

 

次回は、仮靴(試し履き用の靴)用の靴底とヒールの3Dモデルを作成します。